ヤフーとその仲間たちのすごい研修

著 者:篠原匡
出版社:日経BP社
出版日:2015年7月21日 第1版第1刷
評 価:☆☆☆(説明)

 出版社の日経BP社さまから献本していただきました。感謝。

 本書はヤフー株式会社の人事本部長である本間浩輔氏が仕掛けた、人材育成研修の様子を記録したもの。この研修は「次世代のリーダーの育成」を目的としたもので、ヤフーだけでなく、アサヒビール、日本郵便、インテリジェンス、電通北海道といった多様な企業の幹部・リーダー候補生が参加する異業種コラボレーション研修だ。

 研修テーマは「北海道美瑛町の地域課題の解決」。数人からなるAからFまで6つのチームに分かれ、それぞれには美瑛町役場の職員も参加する。6か月で5回のセッション、全12日。その間に「効果的かつ美瑛町で実現が可能な」解決策を練り上げて提案しなくてはいけない。参加者にとってはハードルの高い研修と言える。

 期間中には様々な問題が起きる。それでも、受講者と運営サイドが持てる能力を注いで研修を前に進める。その様子と最終的な提案の内容が、要領よく描かれている。読み物としても面白い。研修を進めるためのノウハウも興味深い。

 思ったこと。求めらるのはやはり「課題解決力」なのだな、ということ。「やはり」というのは、これは私が20数年来意識してきたことだからだ。「何か起きた時にそれをどうにか解決する力」。物事を前に進めるにはそういった力が必要だ。

 しかし、それだけでは足りない。企業も地域社会も、もちろんもっと大きなくくりでも、分かりやすい「課題」を解決するだけでは立ち行かなくなっているからだ。「課題の設定」自体も難しくなっている。解決にはブレイクスルーが必要なこともある。

 そこで重要なキーワードが「ダイバーシティ」。「多様性」と訳される。この研修が異業種コラボレーションで行われたのには、多様性を確保するためらしい。「女性や外国人が入りました」というような単純なことではなく、価値観の違う「合わない人」との議論、言って見れば「摩擦」からしか得られないことがある、という。..これは大変な時代になった。 

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