疾風ロンド

著 者:東野圭吾
出版社:実業之日本社
出版日:2014年12月25日 初版第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「白銀ジャック」の続編。11月に阿部寛さん主演で公開された同名の映画の原作。

 主人公は栗林和幸。泰鵬大学医科学研究所の研究員。大学院卒業後23年間、この研究所に勤めていると言うから、50歳手前というところか。その研究所から生物兵器並にに毒性の強い「炭疽菌」が持ち出された、というのが物語の発端。

 「炭疽菌」を持ち出した犯人は、研究所の元研究員。炭疽菌をケースに入れて雪の中に埋めた。摂氏10度以上になるとケースが割れて中身が拡散する。要求額は3億円。とここまでが、冒頭で明らかにされる。それともう一つ、犯人は炭疽菌を現場に残したまま、交通事故で死んでしまう。

 そんなわけで栗林は、残されたわずかな手がかりを基に、持ち出された炭疽菌の回収に挑む。上司である研究所長の厳命によって、警察には知らせない、協力者にも真相を明かしてはならない。どうやらスキー場に埋められたらしいが、栗林のスキーの腕前はボーゲンレベル。それも20年以上前。ミッション・インポッシブル。

 そのスキー場に「白銀ジャック」にも登場した、パトロール隊の根津昇平と、スノーボードの選手の瀬利千晶がいた。物語に前作とのつながりは殆どないけれど、彼らの活躍と、同じようにスキー場が舞台になる前作の事件との類似性もあって「続編」という位置づけでいいだろう。

 父子の関係や、淡い恋心や、家族の絆や、スポーツ選手の憂い、などなどを織り込んだ、大立ち回りありの活劇。面白かった。これは映画向きの物語だと思う。きっと映画も面白いだろう。

 映画「疾風ロンド」公式サイト

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